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「踊れる線と肉」
僕の作品制作は、僕がみたいものをつくります。
ただ、みたいものが背後にあって、それを目指してつくるわけではありません。
みたいものがわからないまま進んでいきます。
真鍮板を細長く切ったものに絵具を使って描いていきます。
真鍮と絵具は例えるなら、真鍮は骨であり、絵具は肉です。
骨を曲げ、肉を付ける、そしてまた骨を曲げる。
肉付きが良くなってきた頃、関節のようなところができ、骨格の全体感ができてくる。
その「何か」を、僕は手と目で確かめて、その繰り返しの中で、僕がみたいものに少しでも近づきたいと思っています。
2022年8月(10月の個展に向けて)
石は、長い年月を掛けてその形になった。似ているようで、同じ形は一つもない。
また、年輪を思わせる模様や、色の混じり合いを見ていると、太古の記憶に触れるような興奮を覚える。
僕は、そうした出会いを制作の中に生み出したい。
河井寛次郎は、手仕事はネオプリミティヴの方向に進まなければならないと言った。新しい原始、人間を取り返すことだと。
僕は『描く』と『創る』の狭間を追う。
その痕跡が、鑑賞者の原始に触れてもらえることが出来ればと思っている。
2019年5月
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